
その他待遇に関して


もっとも、どのような命令も許されるわけではありません。業務上の必要性がなければなりませんし、必要性があっても、不当な目的や労働者に過度の負担を強いるような場合には、権利の濫用と評価されますので注意が必要です。
例えば、労働組合での活動や思想・信条によって不利益な転勤・配置転換を命令する場合のほか、その人の技術や技能をいわば台無しにしてしまうような転勤・配置転換は、権利の濫用と評価される可能性があります。また、私生活に不利益を生ずる場合もこのように評価される可能性はありますが、単身赴任などの通常予想される程度の不利益は労働者が甘受すべきとされ、余程の事情がなければ権利の濫用にはならないのが通常でしょう。
以上に対し、職種や勤務場所を限定して労働契約を締結した場合には、これらの範囲を超える命令ができないのが原則です。


労働協約・就業規則によって包括的に定める場合には、親子会社等のいわゆるグループ関係企業への日常的な出向であって、出向先での労働者の利益に配慮して整備されている必要があるものと解されます。