新型コロナウイルスによる緊急事態宣言と休業手当

コロナウイルスによる緊急事態宣言の延長

既に報道で御存知のとおり、令和2年4月7日に、東京都のほか6都道府県を対象として、新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「措置法」といいます。)に基づき、緊急事態宣言が発令されました。

東京都では、緊急事態宣言を受けて、医療機関への通院、食料の買い出し、職場への通勤等、生活の維持に必要がない場合を除き、不要不急の外出をしないことを要請しています。

他方、遊興施設(キャバレー、ナイトクラブ、ライブハウス等)、床面積の合計が1000メートルを超える大学・学習塾、さらに運動・遊戯施設、劇場等の施設については休止の要請が出されています。

同年4月16日には、緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されています。

さらに、同年5月4日には、緊急事態宣言の期間が5月31日まで延長されています(ただし、感染者数の動向等によっては、専門家の意見を踏まえたうえで、期間の満了を待たず解除される可能性があるとのことです。)。

 

休業要請に従って休業した場合の休業手当支払義務の有無

以上のように法律に基づいて休止の要請を受けた施設は、事実上営業を継続することは困難であり、休業せざるを得ないといえます。それでは、事業休止の結果、休業を余儀なくされた労働者に対し、休業手当の支払は必要となるのでしょうか。

この点、労働基準法26条は、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」と規定しています。

この規定によれば、「使用者の責に帰すべき事由」がないときは、使用者に休業手当の支払義務はないことになります。そこで、使用者の「責に帰すべき事由」とは、具体的にどのような場合を指すかが問題となります。

この点については、「過失または信義則上これと同視すべきものよりも広いが、不可抗力によるものは含まれない」と解されています。

そして、不可抗力とは、①その原因が事業の外部より発生したものであること、②使用者が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできないこと、が要件とされています。

新型コロナウィルスの感染拡大やこれに伴う非常事態宣言の発令は、事業の外部から発生したものであることは明らかであり、①の要件は満たすと思われます。

次に②の要件を満たすかが問題となりますが、この点は慎重に検討する必要があります。

たとえ休止の要請を受けている業種であっても、自宅勤務(テレワーク)や配置転換で休業の回避が可能な場合は、「最大限の注意を尽くせば、従業員の休業を回避できる」と解され、休業手当の支払義務が発生する可能性があります。

以上のとおり、休止の要請を受けている場合でも、休業を回避できると判断される場合もあり、注意が必要です。

 

弁護士に相談することの重要性

実際に休業する場合、従業員に何らかの補償をするか否かは、今後の見通し、従業員やその家族の生活保障、企業の規模や財務状況、政府や地方公共団体による援助の有無・程度等、様々な事情を考慮して検討しなければなりませんが、同時に法的リスクについても検討する必要があります。また、事態は刻一刻と変化し。これに応じて適切な対応を検討しなければなりません。法的リスクを可能な限り回避するためにも、法律の専門家である弁護士に相談することは重要といえます。

returnTOP写真