在宅勤務における労働時間管理及び時間外・休日労働

在宅勤務における労働時間管理

新型コロナウィルスの感染拡大防止を契機として、多くの企業で在宅勤務が実施されるようになりました。ただ、在宅勤務の場合には、勤務実態を把握しにくいということがあり、使用者である企業がどのように労働時間を管理するのかが問題となります。

 

そもそも、労働基準法には、労働時間、休日、深夜業等について規定が設けられていることから、使用者は、労働者の労働時間を適正に把握する等、労働時間を適正に管理する責務を負うとされています(労働基準局長通達339号「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」参照)。そして、在宅勤務であっても、労働基準法上の労働者には労働基準関係法令が適用されますので、使用者は、在宅勤務における労働時間を適正に管理する必要があります。

 

この点について、厚生労働省から、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html)が公表されています。

同ガイドラインには、始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法として、⑴使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること、⑵タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録することが挙げられています。

そして、⑶やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合には、適正に自己申告を行うこと等について十分な説明を行ったり、必要に応じて実態調査を実施して所要の労働時間を補正する等の措置を講ずべきであるとされています。

在宅勤務の場合には、⑴の方法はとることができませんので、⑵又は⑶のいずれかの方法によって、労働時間を適正に管理する必要があります。

 

また、在宅勤務は自宅で行われることから、勤務時間の一部に短時間の家事を行う等、いわゆる「中抜け時間」が生じることも想定されます。このような「中抜け時間」の取扱いについても、事前に取り決めておくことが望ましいと考えられます。

 

在宅勤務における時間外・休日労働

在宅勤務であっても、実労働時間が法定労働時間を超える場合には、いわゆる三六協定を締結して届出をし、割増賃金を支払う必要があります。

また、在宅勤務の場合、使用者から離れた場所での勤務となるため、労働者が長時間労働に及ばないような措置を講じることも必要となります。そこで、使用者は、役職者等から時間外、休日又は深夜にメールを送付することの自粛を命じたり、外部のパソコン等から深夜、休日はシステムにアクセスできないような設定をする等の対策を講じることが望ましいと考えられます。

 

なお、厚生労働省の「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/guideline.html)によれば、在宅勤務において労働者が時間外等に業務を行ったとしても、事前許可制及び事後報告制を採用していて、一定の要件を満たしている場合には、労働基準法上の労働時間には該当しないため、割増賃金を支払う必要はないとされています。

したがって、事前許可制及び事後報告制を採用している場合には、割増賃金を支払う必要がないこともありますので、同ガイドライン等を参考にご対応いただければと思います。

 

弁護士に依頼すべき理由と当事務所ができること

在宅勤務における労働時間管理及び時間外・休日労働については、上述のような点に留意して対応していただくことが重要となります。

ただ、フレックスタイム制を導入している場合、事業場外みなし労働時間制(労働者が事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす制度)が適用される場合や、裁量労働制の対象となる労働者が在宅勤務を行う場合等、個々の事案に応じても異なりますので、是非一度専門家へご相談いただければと存じます。当事務所では、労務に関し豊富な知識を有する専門家が対応いたしますので、個別のケースに応じて、適切なアドバイスをさせていただきます。

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