行政庁の関与

協同組合は公共的な性質を持つため、行政庁は以下のとおり組合運営に対して関与することが可能となっています。

 

行政庁の関与の種類

⑴ 一般的報告の徴収(中協法105条の3第1項)

行政庁は、毎年1回、組合又は中央会から、その組合員又は会員、役員、使用人、事業の分量その他組合又は中央会の一般的状況に関する報告であって、組合に関する行政を適正に処理するために特に必要なものを要求することができます。

 

⑵ 疑いに基づく報告の徴収(同条第2項)

行政庁は、組合の業務・会計が法令・定款・規約等に違反する疑いがあり、又は組合の運営が著しく不当である疑いがあると認めるときは、組合からその業務又は会計に関し必要な報告を要求することができます。

 

⑶ 疑いに基づく検査(同法105条の4)

行政庁は、組合の業務・会計が法令・定款・規約等に違反又は組合の運営が著しく不当である疑いがあると認めるときは、その状況を検査することができます。

 

⑷ 業務改善命令(同法106条1項)

行政庁は、報告の要求・検査により、違反又は著しく不当の疑いがあると認めるときは、その組合に対し、期間を定めて必要な措置を採るべき旨を命ずることができます。

 

⑸ 解散命令(同法106条2項)

行政庁は、組合が業務改善命令に違反したとき、又は組合が正当な理由がないのに一年以内に事業を開始せず、若しくは引き続き一年以上その事業を停止していると認めるときは、その組合に対し、解散を命ずることができます。

 

具体的事例

⑴ 業務改善命令

以下の違反事実があった事案において、行政庁は当該協同組合に対し、業務改善命令を出しました。

①総代の選挙を実施していないこと(中協法55条第4項、35条第8項)。
②総代会及び理事会の議事録の記載が不適正であること(同法55条6項、  53条の4第1項、36条の7第1項)。
③理事会が承認していない利益相反取引を行ったこと(同法38条1項、3項)。

④監査が適正に実施されていないこと(同法36条の3第2項)。

 

⑵ 業務改善命令・解散命令

協同組合において、「国の融資で厚生施設を建設する。組合員になれば仕事を受注できる」とPRして、中小企業約100社から出資金等合計3億円を集めていましたが、実際には、組合に加入しても仕事は一向に来ず、脱退届を提出して出資の払い戻しを請求しても払い戻されませんでした。

そして、行政庁の調査の結果、当該協同組合において実現不可能な事業内容をPRしていたことが明らかとなり、集金したお金を返すよう業務改善命令が出されました。

しかしながら、協同組合はその命令に従わなかったため、解散命令が出されました。

 

当事務所でできること

このように、行政処分を受けた場合、協同組合が解散させられることもありますので、組合の運営においては、日頃から、法令・定款・規約等に違反しないようにすることが重要です。

当事務所では、法令・定款・規約等を踏まえて組合の運営についてアドバイスすることが可能ですので、お気軽にご相談ください。

 

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