解雇・雇止め

「雇い止め」とは,企業が,契約期間が定まっている従業員(有期契約労働者)を,契約期間満了時に更新することなく辞めさせることを言います。契約期間が満了しているのですから,更新しないのは企業の自由として当然に認められるようにも思われます。

しかし,有期契約労働者であっても,無期契約労働者に類似した労働をしている場合や,長期の雇用を合理的に期待しうる状況で労働している場合には,雇い止めの当否を判断するにあたっても,無期契約労働者の解雇の場合と同様の合理的理由が問われるものとされています。無期契約労働者の解雇が大幅に制限されているのは,長期雇用システムの中で働く労働者には,その生活と雇用への期待を保護する必要性があるからです。そうだとすると,有期契約労働者であっても,無期契約労働者と同様に雇用への期待を有するのが当然であると言えるような場合には,これを保護しなければなりません。

そこで,労働契約法19条は,上記のような場合(実質的には無期契約と言える場合,または,更新を期待することが合理的な場合),有期契約労働者から契約更新の申込があった場合は,更新拒絶に客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当であると認められない限り,更新拒絶できないものとされています。

この点につき,裁判例は,継続雇用を期待させる当事者の言動があったかどうかや,現実の更新状況,仕事の内容や雇用期間など,その雇用契約に関わる事情を総合考慮した上で,継続雇用の期待が強く,その期待を持つことが合理的であると認められる場合には,解雇権濫用法理を類推適用して、更新拒絶の妥当性を判断しています。なお,厚生労働省が「有期労働契約の反復更新に関する調査研究会報告」という詳細な研究報告書をまとめていますのでご参照ください。

つまり,雇止めと呼ばれる有期雇用契約の更新拒絶も,使用者がいつでも自由にできるというわけではないのです。継続的に雇用しない予定の労働者については,継続雇用の期待が生じないよう,契約期間や更新回数の上限を労働契約書に明確に定めたり,更新手続を厳格したりするなど,普段からの体制作りが肝要です。

さらに,労働契約法の改正により,平成25年4月から「有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換する」ことが企業に義務づけられました(同法18条)。従いまして,平成25年4月以前から勤務している従業員は,同人からの申出により,平成30年4月から無期労働契約に転換されることが相当数見込まれます。これは、実態と形式を合わせるための措置であるといえますが,これに対応したルール作りがされていないと,慌てることになるかもしれません。

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