労働審判

労働審判手続とは

労働審判手続とは、労働者と企業の間の個別労働紛争に関し、労働審判委員会(裁判官である労働審判官1名と労使各1名ずつの労働審判員の合計3名で組織)が事件を審理し、調停による解決(合意による解決)を試み、その解決に至らない場合は労働審判(労働審判委員会の判断による解決)を行う手続をいいます。

労働審判手続の対象

労働審判手続は、個別労働紛争を対象としており、労働組合と企業の間の集団的労働紛争は対象としておりません。個別労働紛争を対象としない申立ては不適法であり、却下されることになります。

また、労働審判手続は、後述のとおり、原則として3回以内で審理を終了してしまうため、膨大な立証が必要な複雑な事件には適しません。労働審判委員会は、労働審判手続によって迅速かつ適正な解決ができないと判断した場合は、労働審判法24条1項に基づき、手続を終了させることができます。

労働審判手続の概要

労働審判手続では、申立て後40日以内に第1回期日が指定されます。そして、実務上、第1回期日において、企業・労働者双方の主張・立証が尽くされて証拠調べが終了します。労働審判委員会は、第1回期日において心証を形成し、第2回期日以降、この心証を前提に調停成立に向けた協議が行われることになります。

そして、原則として第3回期日までに調停が成立しない場合は、労働審判が言い渡されることになります。

労働審判の内容に不服の場合、裁判所に対し、異議の申立てをすることができます。異議の申立てがあったときは、労働審判はその効力を失い、訴訟手続(主に法廷で行われる通常の裁判手続)に移行することになります。

労働審判手続が申し立てられたときの注意点

前述のとおり、労働審判手続では、実質的に第1回期日において、労働審判委員会の心証形成は終了してしまい、第2回以降に補充立証を行っても、心証を変えさせることは著しく困難です。

よって、申立書の記載に事実に反する記述や主張がある場合、第1回期日に必要な反論を行い、これを裏付ける的確な証拠を提出することが必要不可欠です。

そして、40日以内という短期間に的確な反論や証拠の提出を行うには、経験豊かな弁護士による助言が必要です。労働審判が申し立てられた場合は、直ちに弁護士に相談することをお勧めします。

returnTOP写真