株主対策

1 株主総会は開いているか?

上場企業など、公開会社の場合には、株式譲渡が頻繁に行われ、不特定多数の株主がいるため、年1回は定期的に株主総会が開催されます。

これに対し、非公開会社の中には、株主総会をあまり開かず、中には実際に開いたことがない会社もあるようです。(なお、「株主総会」を開催すべきなのは、株式会社または特例有限会社(注)です。その他の会社(合同会社など)は株主総会を開くことはできません。)
(注)概ね、現在の会社法(平成18年施行)前に「有限会社法」に基づいて設立された会社を指します。

非公開会社でも、株主がずっと1名のみであればそれほど大きな問題は生じません。しかし、複数人の株主がおり、株主間の意見が一致しないにもかかわらず、株主総会を開催しないでいると、あとで「株主総会が開催されていないにもかかわらず、勝手に役員報酬や退職慰労金を受け取った。」、「知らないうちに取締役に就任していた人がいる。」などと言われ、争われる原因になります。

もちろん、株主全員の同意で、株主総会の決議を省略する書面を作成した場合は、別です。しかし、株主総会を開催していないのに「株主総会議事録」だけが存在しているときには、株主総会は開催せず、決議も為されていないと解釈されるのが通常です。

2 株主総会を開いていない場合

株主総会を全く開かず、株主総会決議をしないまま、取締役の選任・解任をしたり、役員報酬・退職慰労金を支給したときには、株主総会決議不存在確認の訴えを起こされることがあります。
そして、株主総会で役員報酬の支払につき何の決議もなければ、役員報酬の支給を受けた人は「不当利得」であるとして、会社への返還を求められるおそれがあります。

退職慰労金についても、個別に総会決議を経るか、退職慰労金支給規定を定めていないときには、やはり「不当利得」であるとして、会社への返還を求められる場合があります。

取締役の選任解任についても、同様に株主総会で総会決議(書面による決議省略を含む。)がないにもかかわらず、書類上、株主総会議事録しか残っていない場合には、やはりその選任及び解任自体が行われていないと取り扱われるのが通常です。

3 非公開会社でも株主総会を

このように、非公開会社において株主総会を開いていないために、後で紛争が生じることがあります。

株主総会は会社法上、極めて重要な意思決定機関ですが、非公開会社の場合には、登記手続、会計処理及び税務申告のために、形式的に「議事録」だけ作成する実務が横行しております。このようなやり方だと、後々、「実際に株主総会を開いていない」として、「株主総会の決議が存在しない」として裁判(訴訟)になることもあります。

また、株主総会を実際に開いていても、「株主が株主総会に参加するために要する、適切な手続きを行っていない」(例えば、招集通知が届いていない等)などを理由に株主総会決議取消の訴えを起こされる恐れもあります。

従って、非公開会社でも将来起こりうる紛争を防止する意味でも、株主総会を定期的に開催することをおすすめします。(なお、株主総会を開催しなくても対応できる場合もあります。どのような場合に対応できるのかについては、弁護士までご相談ください。)

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