中小企業協同組合の組合員

中小企業協同組合の組合員の資格・権利・義務・責任等については、中小企業等協同組合法(中協法)に定められています。今回は、事業協同組合に絞り、中協法が組合員についてどのように規定しているかをみていきます。

 

組合員の資格(中協法8条)

中協法8条1項は、「事業協同組合の組合員たる資格を有する者は、組合の地区内において商業、工業、鉱業、運送業、サービス業その他の事業を行う前条第一項若しくは第二項に規定する小規模の事業者・・・で定款で定めるものとする。」と定めています。つまり、組合員は、組合の定款で定められた地区内において、定款で定められた事業を行う小規模の事業者となります。そして、小規模といえるか否かについては、事業者の資本金及び従業員数により判断される(中協法7条1項)こととなります。

組合員は、任意に組合に加入し、そして脱退できることとされています(中協法5条1項2号・18条)。これは、協同組合が、相互扶助の精神に基づき共同して事業を行うものである以上(中協法1条)、組合員の加入脱退は組合員の意思に基づいて、自由に行われるべきものであるからです。

組合員の権利

組合員は、議決権及び選挙権(中協法11条)、脱退時の持分払戻請求権(中協法20条1項)、決算関係書類等の閲覧・謄写請求権(中協法40条12項)、会計帳簿等の閲覧・謄写請求権(中協法41条3項、ただし総組合員の100分の3以上の同意が必要)、役員の改選請求権(中協法42条1項、ただし総組合員の5分の1以上の連署が必要)等の権利を有します。これらの権利を、自益権と共益権に分けて、確認していきます。

 自益権

  持分払戻請求権(中協法20条1項)

組合員が組合から脱退するとき、組合員は定款の定めにしたがい、持分の全部又は一部の払い戻しを請求することができます。払い戻しの金額については、組合員が脱退した事業年度末の組合財産をもとに算出されます(同条2項)。

  剰余金配当請求権(中協法59条2項及び3項)

組合員は、定款の定めるところにより剰余金の配当を受取ることができます。組合は、損失を補填し、各事業年度の剰余金の10分の1(中協法58条1項)と繰越金(中協法58条4項)を控除したうえで、組合員に配当することができます。

  残余財産分配請求権(中協法69条)

組合が解散し、債務を弁済し、なお残余財産があれば、組合は、組合員へ分配することができます(中協法69条の準用する会社法502条・481条3号)。なお、組合が解散する場合、清算人が組合の清算を行うこととなるのは、株式会社の清算と同様です。

  組合事業の利用権

組合員は、組合が行う事業に参加することができるからこそ、組合員となることから、このような利用権は当然に認められるものです。

 共益権

  議決権・選挙権(中協法11条)

組合員は、各々1個の議決権及び役員又は総代の選挙権を有します。議決権については、出資額にかかわらず、各組合員が1個の議決権を有し、出資割合に応じた議決権を有する株式会社の株主とは異なります。

議決権の行使は、代理人によることができますが、この代理人は、組合員の親族・使用人、他の組合員に限られています(中協法11条2項)。これは、組合に関係のない他人に組合の運営が委ねられることにより、組合本来の目的である組合員の相互扶助の精神が歪められることを防ぐための規定と考えられます。

  書類閲覧・謄写請求権(中協法40条12項)等

組合員は、組合に対して、その業務取扱時間内は、いつでも、一定の書面の閲覧・謄写請求をすることができます。ここで、請求が認められている書面を挙げると、組合員名簿(中協法10条の2第3項)、定款及び規約(中協法34条の2第2項)、決算関係書類(中協法40条12項)、総会・理事会議事録(中協法53条の4第4項)などです。

  訴訟提起権(中協法39条)等

組合員は、理事に対する差止請求(中協法36条の3第3項・会社法360条3項・1項)、組合役員に対する責任追及の訴えの提起(中協法39条・会社法847条1項等)、総会決議取消・不存在確認・無効確認の訴えの提起(中協法54条・会社法830条・831条)等を行うことができます。

  会計帳簿・書類閲覧謄写請求権(中協法41条3項)

組合員の共益費のうち、①から③までは、組合員が単独で行使できるものでしたが、④以降については、一定の割合の組合員の同意を得て行使できる権利となります。そして、その権利のひとつに、総組合員の100分の3の同意を得て行使可能な会計帳簿・書類閲覧謄写請求権があります。ただし、この100分の3という割合は、定款により小さくすることが可能です。

  役員改選請求権(中協法42条1項)

総組合員の5分の1の連署がある場合、役員の改選を請求することができます。この5分の1の割合を定款の定めにより小さくすることができるのは、④と同様です。

  総会招集請求権(中協法47条2項)

組合員は、総組合員の5分の1(定款の定めにより小さくすることが可能)の同意を得て、会議の目的である事項及び招集の理由を記載した書面を理事会に提出して総会の招集を請求したときは、理事会は、その請求のあった日から20日以内に臨時総会を招集すべきことを決しなければならないとされています。

 

上記のような組合員の権利からすれば、組合は組合員から様々な請求を受ける可能性もあります。そのような場合には、組合としては法律の定めに沿って対応をする必要がございますので、組合の手続の適法性確保の点からも、一度弁護士にご相談されることをお勧めします。

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