協同組合における役員の選出

役員選出の方法

役員(理事と監事)の選出は、必ず総会で行わなければなりませんが(中小企業等協同組合法(以下「中協法」といいます。) 35条)、選出方法には、⑴選挙・⑵選任の2つの方法があります。

 

選挙制

①–1 無記名投票制

役員の選挙は、1組合員1票の無記名投票をもって行うことを原則としますが(中協法35条8項)、投票を単記式(1人の名前のみを記入)とするか、連記式(複数の名前を記入)とするかは定款等で適宜定めることができます。

 

①−2 立候補・推薦制

この方法は無記名投票で行う点は変わりませんが、被選挙人を立候補者及び推薦を受けた者に限定することとなります。また、この場合、指名推選制の方法をとることはできません。

② 指名推選制

無記名投票の例外として、指名推選制をとることができます。この方法は、選考委員を選出し、これらの委員により被指名人の選定を行い、その被指名人を当選人とするかどうかを総会に諮る方法です。

この方法を採用するためには、「総会の出席者全員に異議のない」ことが必要であり、当選人の決定についても、被指名人について「総会の出席者全員の同意があった」ことが必要です(同条10項、11項)。

このように、1人でも異議を唱える者がいる場合には、この方法を採用することはできません。

選任制

選任制とは、あらかじめ一定の手続きにより選定した役員候補者を一つの議案として総会に提出し、総会の議決により選出することをいいます(同条13項)。

役員候補者については、地域、業種、規模等各組合の実態に即して定められた選出母体から選出された推薦委員によって構成される推薦会議において選定されたところにしたがって理事会が決定することになっています。

 

 

定款の定め

役員の選挙・選任は「定款に定めるところにより」行うとされており(同条3項、13項)、このため、33条1項11号において、「役員…の選挙又は選任に関する規定」を定款の絶対的必要記載事項と定め、定款への記載を義務付けています。

したがって、無記名投票制、指名推選制、立候補制、選任制のいずれの方法を採る場合であっても、あらかじめその旨の規定を定款に定めておくことが必要となります。

 

当事務所でできること

定款に定めのない方法による役員選挙・選任はできないと解されており、組合の意向に従った役員の選出ができるよう、定款を事前に整備しておく必要があります。また、役員の選出手続は複雑なものもありますので、事前に確認のうえ、手続きに則って行う必要があります。

当事務所では、定款の作成・チェック業務、手続きについてのアドバイス業務も行うことができますので、お気軽にご相談ください。

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