協同組合に対する監督

 

組合員の申出・請求権

協同組合は、行政庁の監督に服します。

⑴ 不服の申出

協同組合の業務・会計が、法令、法令に基づく行政庁の処分、定款・規約・共済規程等に違反し、または組合の運営が著しく不当であると思料する組合員は、その事由を添えて、文書で行政庁に申し出ることができます(法104条1項)。行政庁は、上記の申出があったときは、法律の定めるところに従い、必要な措置をとる必要があります(法104条2項)。

⑵ 検査の請求

組合員は、その総数の10分の1以上の同意を得て、組合の業務・会計が、法令、法令に基づく行政庁の処分、定款・規約(共済事業を行う組合では共済規定を含む)に違反する疑いがあることを理由として、行政庁に検査を請求することができます(法105条1項)。

この請求があったとき、行政庁は、組合の業務・会計の状況を検査しなければなりません(法105条2項)。

決算関係書類等の提出

⑴ 組合は、毎事業年度、通常総会の終了の日から2週間以内に、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、剰余金の処分または損失の処理の方法を記載した書面を行政庁に提出しなければなりません(法105条の2第1項,3項)。

⑵ 共済事業を行う組合は、上記⑴のほか、共済代理店の設置廃止をしようとするときなど、一定の場合、行政庁に届け出なければなりません(法106条の3)。

 

報告の徴収等

⑴ 行政庁は、毎年1回、組合から、組合員、役員、使用人、事業の分量その他組合の一般状況に関する報告であって、行政を適正に処理するために特に必要なものを求めることができます(法105条の3第1項)。

行政庁は、組合の業務・会計が、法令、法令に基づく行政庁の処分、定款・規約・共済規程等に違反する疑いがあり、または組合の運営が著しく不当である疑いがあると認めるときは、組合から業務・会計に関し、必要な報告を求めることができます(法105条の3第2項)

⑵ 組合が共済事業を行う場合、行政庁は、共済事業を行う組合の業務の健全かつ適切な運営を確保し、組合員その他の共済契約者の保護を図るため特に必要があると認めるときは、共済事業を行う組合に対し、その業務・財産の状況に関し報告または資料の提出を求めることができます(法105条の3第3項)。

行政庁は、共済事業を行う組合の業務の健全かつ適切な運営を確保し、組合員その他の共済契約者の保護を図るため必要があると認めるときは、その必要の限度において、組合の子法人等・共済代理店に対し、組合の業務・会計の状況に関し参考となるべき報告または資料の報告を求めることができます。組合の子法人等・共済代理店は、正当な理由があるときは、その報告または資料の提出を拒むことができます(法105条の3第4項,5項)。

 

検査等

⑴ 行政庁は、組合の業務・会計が法令、法令に基づく行政庁の処分、定款・規約(共済事業を行う組合では共済規程も含む)に違反する疑いがあり、または組合の運営が著しく不当である疑いがあると認めるときは、組合の業務・会計の状況を検査することができます(法105条の4第1項)。この検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはなりません(105条の4第7項)。

⑵ 組合が共済事業を行う場合、行政庁は、共済事業を行う組合の事業の健全かつ適正な運営を確保し、組合員その他の共済契約者の保護を図るため必要があると認めるときは、職員に組合の事務所その他の施設に立ち入らせ、業務・財産の状況に関し質問させ、帳簿書類その他の物件を検査させることができます(法105条の4第2項)。

行政庁は、上記質問、検査を行う場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、職員に、組合の子法人等もしくは組合の共済代理店の 施設に立ち入らせ、組合に関する質問・検査に必要な事項に関し、質問させ、帳簿書類その他の物件を検査させることができます。組合の子法人等、組合の共済代理店は、正当な理由があるときは、その報告または資料の提出を拒むことができます(法105条の4第4項,5項)。

 

命令

⑴ 監督上の命令

① 共済事業を行う組合の場合

ア)変更命令

行政庁は、共済事業を行う組合の業務・財産の状況に照らして、または事情の変更により、共済事業を行う組合の事業の健全かつ適正な運営を確保し、組合員その他の共済契約者の保護を図るため必要があると認めるときは、組合に対し、その必要の限度において、定款・規約・共済規程等に定めた事項の変更または業務執行の方法の変更を命じることができます(法106条の2第1項)。

イ)措置命令

行政庁は、共済事業を行う組合の業務・財産、または共済事業を行う組合及びその子会社等の財産の状況に照らして、組合の業務の健全かつ適切な運営を確保し、組合員その他の共済契約者の保護を図るため必要があると認めるときは、組合に対し、措置を講ずべき事項及び期限を示して、組合の経営の健全性を確保するための改善計画の提出を求め、もしくは提出された改善計画の変更を命じ、または、必要な限度において、期限を付して業務の全部もしくは一部の停止を命じ、もしくは組合の財産の供託その他監督上必要な措置を命ずることができます(法106条の2第2項,3項)。

ウ)認可の取消

行政庁は、共済事業を行う組合の財産の状況が著しく悪化し、共済事業を継続することが組合員その他の共済契約者の保護の見地から適当でないと認めるときには、共済規程の認可の事業を行う協同組合連合会の設立の認可を取り消すことができます(法106条の2第4項)。

⑵ 法令違反等に対する命令

① 業務改善命令

行政庁は、組合の業務・会計が、法令、法令に基づく行政庁の処分、定款・規 約(共済事業を行う組合では、共済規程を含む)に違反し、または組合の運営が 著しく不当であると認めるときは、組合に対し、期間を定めて必要な措置を取る べきことを命じることができます(法106条1項)。

② 業務の停止、役員の解任、認可の取消

行政庁は、共済事業を行う組合が、法令、法令に基づく行政庁の処分、定款・ 規約・共済規程等に定めた事項のうち特に重要なものに違反したとき、または公 益を害する行為をしたときは、組合の業務の全部もしくは一部の停止、役員の解 任を命じ、または、共済規程の認可を取り消すことができます(法106条の2第 5項)。

共済規程の認可の取消により、組合は責任共済の事業が実施できなくなります。

③ 解散命令

行政庁は、組合が業務改善命令に違反したとき、または組合が正当な理由がな いのにその成立の日から1年以内に事業を開始せず、もしくは引き続き1年以上 事業を停止していると認めるときは、組合に対し、解散を命じることができます (法106条2項)。

 

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