第41号 平成30年04月02日

陽春の候、皆様におかれましては、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
中村綜合法律事務所メールマガジン4月号(第41号)を配信いたしますので、ご一読いただければ幸いです(2018.4.2弁護士 中村雅男)。

□ 目 次 □

1.法律コラム~働き方改革と給与所得について~
2.裁判傍聴のすすめ~その④
3.麹町グルメのご紹介

 

1.働き方改革と給与所得について

働き方の多様化により、働き手の得る収入が、これまでの給与所得の概念では説明しにくい場面が生じるかもしれません。
この問題を考える前に、そもそも、給与所得というものが、どのように解されているのかを検討してみましょう。
まず、給与所得について規定した所得税法28条1項を見てみましょう。ここには、「給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう。」と書いてあります。
もっとも、この条文には、給与所得についての例示があるだけで、何度この条文を読んでも、結局、何らかの収入が給与所得かどうかを判断する一般的な基準を読み取ることはできません。
そこで手がかりとなるのが、最高裁昭和56年4月24日判決です。この判決では、給与所得とは、「雇用契約またはこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいうものであり、給与所得については、とりわけ、給与支給者との関係において何らかの『空間的、時間的な拘束』を受け、継続的ないし断続的に労務または役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかが重視されなければならないと解されている。」と述べられています。
それでは、働き方が多様化するなかで、働き手が得る収入は、このような従来の給与所得の概念で説明ができるのでしょうか。
平成29年3月に政府から公表された「働き方改革実行計画」では、「同一労働・同一賃金」や「時間外労働時間の上限規制」などとともに、子育て、介護と仕事の両立、多様な人材の能力発揮、起業の手段として、「副業や兼業」を推奨しています。
そして、そのための働き方として、インターネット等を活用した場所や時間にとらわれない、いわゆる「テレワーク」を既に導入している企業もあります。
オフィスに通わない働き方は、通勤時間をゼロにする、その分の時間を効果的に使える、はたまた通勤時の交通機関での移動に伴うCO2削減に繋がるなど、個人にとっても企業にとっても、また社会にとってもメリットがあるといわれています。
上述した給与所得の定義のうち「空間的、時間的な拘束」を受けることを重視しますと、場所や時間にとらわれない働き方であるテレワークなどによる収入は、給与所得ではないということになりえます。
しかし、最近の裁判例などを見ますと、「空間的、時間的な拘束」を受けることは、給与所得に該当するための必要要件とはいえないと述べており、テレワークなどによる収入も、給与所得に含まれる可能性を残しています。
テレワークのケースのように、働き方改革が進むにつれ、これまでの給与所得の概念では説明しにくい場面が増えていくと予想されます。
そこで、この機会に、改めて給与所得とはいかなるものか検討することも必要かもしれません。

 

2.裁判傍聴のすすめ~その④

刑事裁判の手続(「公判手続」といいます。)は、冒頭手続→証拠調べ手続→検察官の論告・求刑→弁護人・被告人の最終弁論→判決、の順に進みます。
前回は、「証拠調べ手続き」について、刑事裁判で提出される証拠の種類及びその証拠調べの方法についてご紹介しました。
今回は、どのようにして証拠調べの対象となる証拠を決定し、法廷で証拠調べを行うかについてご説明いたします。
刑事裁判では、被告人が検察官主張の犯罪を行ったことについて、原則として検察官に立証責任があります。
そこで、証拠調べ手続に入るとまず、検察官が「冒頭陳述」を行います。冒頭陳述は、検察官がこれから証拠によって立証しようとする事実を法廷で明らかにする手続で、検察官が被告人の身上経歴、犯行に至る動機や経緯、犯行の日時・場所、犯行態様、犯行時の状況、被害状況等を口頭で述べます。
冒頭陳述後、検察官は、冒頭陳述で述べた事実を立証するための証拠を取り調べるよう裁判所に求めます。これを「証拠調べ請求」といいます。
これに対し裁判所は、被告人・弁護人に、検察官提出の証拠を取り調べることについての意見(証拠意見)を求めます。
被告人・弁護人は、証拠調べに異存がない場合は「異議なし(物証の場合)」、「然るべく(人証の場合)」、「同意する(書証の場合)」などと応答し、異存がある場合には理由を述べて、その証拠を取り調べないよう裁判所に求めます。
裁判所は、このような被告人及び弁護人の証拠意見を踏まえ、その証拠を採用して取り調べるか否かを決定します。
同様に、被告人・弁護人も冒頭陳述の上(ただし、検察官とは異なり、被告人・弁護人の冒頭陳述は必須ではありません。)、自らが収集した証拠の取り調べを裁判所に求め、裁判所は検察官の証拠意見を聞いた上でその証拠の採否を決定します。
証拠を集めるのはあくまで検察官と被告人・弁護人の役割である一方で、証拠の採否を決定するのは裁判所の権限です。これは、裁判所が公正中立な目でその証拠を取り調べる必要性・合理性を判断することで審理の効率化を図り、いたずらに裁判が長期化することを避ける、という意義があります。
このようにして、まずは取り調べの対象となる証拠を決定する手続を経た上で、証拠調べが実施されます(刑事裁判で提出される証拠の種類及び証拠調べの方法)

 

3.麹町グルメのご紹介

今回は、麹町のラーメン店「ソラノイロ」をご紹介いたします。
こちらは「ベジソバ」と呼ばれる麺、スープ、トッピングの全てに野菜をたっぷり使ったヘルシーなラーメンが有名な、行列ができる人気店です。
パプリカを練り込んだオレンジ色の麺の上には、キャベツやニンジンの千切り、水菜、ベビーリーフ、レンコンなどの季節の野菜がサラダのようにたっぷりと彩りよくトッピングされています。
スープはニンジンやトマト、セロリやカボチャなどをベースにしていると思われ、野菜のポタージュのような優しい味わいですが、しっかりと野菜の旨みや甘みが出ていて、そのままでも、麺に絡めてもとても美味しいです。
ラーメンだけでも十分満足なのですが、スープが残っていたら、ご飯とチーズを追加でオーダーしてリゾットとしても楽しめます。
ラーメンに加え、さらにリゾットとなるとカロリーが気になるところではありますが、せっかくなのでスープも残さず満喫したい!という方には、リゾットは是非ともおすすめです。
店内はカフェのような雰囲気で女性一人でも入りやすく、お店の方の接客もとても丁寧です。また、最近は外国人観光客の方にも人気のようです。
場所は新宿通り沿い、「麹町4丁目」の交差点から三菱東京UFJ銀行の脇を入ったいわゆる「プリンス通り」と呼ばれる通りを進み、「紀尾井町」という表示があるひとつめの信号を左折、さらに進んでひとつ信号を超えた右手のビルの1階です。
東京らしい、新しくてヘルシーなラーメンを楽しんでいただけるおすすめのお店です。
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