メルマガバックナンバー47号 平成30年10月01日分

爽秋の候、皆様におかれましては、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
中村綜合法律事務所メールマガジン10月号(第47号)を配信いたしますので、ご一読いただければ幸いです(2018.10.1 弁護士 中村雅男)。

□ 目 次 □

1.法律コラム~正社員と非正規社員との手当格差 どう対応しておくべき?
2.ホームページリニューアルのお知らせ
3.司法修習についてのご紹介

 

1.正社員と非正規社員との手当格差 どう対応しておくべき?

当メルマガ7月号(第44号)でも取り上げましたが,今年6月1日,正社員と非正規社員との間の手当支給の格差について,2つの最高裁判決が出されました(ハマキョウレックス事件,長澤運輸事件。)。この判決は,中小企業を含め,非正規社員を抱える多くの企業に影響を与えるものと思われます。
そこで,本号では,最高裁判決を踏まえ,各種手当の支給について,会社においてどのような対策を採っておくべきか,その一端をご紹介したいと思います。ここでは,もっぱら実務的な対応についてのみ触れますので,最高裁判決の内容の解説については当メルマガ7月号をご参照ください

◆対策1 正社員と非正規社員の違いを明確化しておくこと◆

最高裁は,正社員と非正規社員について,
① 業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(これをまとめて「職務の内容」とします)
② 職務の内容及び配置の変更の範囲
③ その他の事情
を具体的に認定した上で,その内容に照らして,正社員(期間の定めのない労働者)に支給している各種手当を非正規社員(期間の定めのある労働者)に支給しないことが違法となるか否かについて検討しました。

そのため,今後,会社としては,上記①②について,正社員と非正規社員の異同を予め明確にしておくことが重要です。
両者が明確に異なるということであれば,それに基づく手当の格差は不合理とはされにくくなるでしょうし,両者がほとんど同じということであれば,手当の格差は不合理とされやすくなるかと思われます。

社内規程等において,正社員と非正規社員の職務,権限,責任,異動の範囲,昇進の有無等,具体的な違いを明確にしておきましょう。

◆対策2 各種手当の趣旨を明確化しておくこと◆

最高裁は,手当の支給について,手当全体をまとめて考慮するのではなく,個別の手当ごとにその趣旨の検討をして,格差の合理性を判断しました。

そこで,会社としては,それぞれの手当ごとに,その支給の趣旨を明確にしておくことが重要です。以下では,いくつか具体的に見てみます。

■役職手当,役付手当

ある役職についていることによる手当です。
これは,正社員と非正規社員に定められた役職の違いに基づく支給であれば,格差があっても不合理ではないとされやすいと思います(そのためにも,両者の権限や責任の範囲を事前に明確化しておくことが重要です。)。
支給基準も,役職ごとに明確にしておきましょう。

■住宅手当

住宅費用の補助としての手当です。
これは,例えば,正社員には転勤等の可能性があり,非正規社員には転勤等の可能性はないといった事情があれば,その負担分を手当として支給することには理由があるといえ,格差は不合理とはいえなくなると思われます。
(なお,長澤運輸事件では,職務内容や転勤の有無等が同じであっても,非正規社員が定年後再雇用であること等の事情を理由として,住宅手当の支給格差が不合理ではないとされました。そのため,必ずしも転勤がなくても格差が適法と判断されることはありえます。)

■皆勤手当,精勤手当

所定の出勤を皆勤したことに対する手当です。
これは,一般的には皆勤へインセンティブや報償として支給するものですが,正社員と非正規社員の格差は不合理とされる可能性が高いかと思います。
正社員は皆勤してほしいけど,非正規社員は皆勤しなくても良いということは通常ありませんよね。
最高裁の事案でも不合理と判断されましたので,格差を設けるのであれば,明確な理由を定めることが必要です。

■給食手当

食事の補助に関わる手当です。
一般に,正社員と非正規社員で食事の必要性が異なるということは考えにくいですので,格差を設けるのは難しいかと思います。
もっとも,例えば「正社員は営業のための外勤が多く,どうしても飲料代等が多くかかる」といった事情があり,これを一部補填する趣旨で支給するということであれば,必ずしも不合理ではないように思います。

以上の各種手当支給の格差は,積極的に「合理的である」までの必要はなく,「不合理とまではいえない」程度で良いとされており,対応にあたってのハードルは高くはありません。
重要なのは,きちんと基準や趣旨を定めた上で支給することです。
トラブルになるまえに,一度,自社の手当を見直してみてはいかがでしょうか。
社内規程のチェックや改定の方向性についてのご相談もお受けしておりますので,お気軽にお問い合わせください。

 

2. ホームページリニューアルのお知らせ

このたび、当事務所のホームページを全面的にリニューアルいたしました。
従来、当事務所のホームページは1つでしたが、閲覧して下さる方の目的に応じて、必要な情報をより詳しく、わかりやすくお伝えするため、テーマ別に3つのホームページを新たに開設いたしました。
主に個人のお客様に当事務所をご紹介する個人(事務所総合)サイト、企業法務についての当事務所の取組みや取扱い分野をご紹介する企業法務サイト、そして、今注目の民泊に特化した民泊専門サイトです。
いずれのホームページにおいても、取扱い分野や所属弁護士のご紹介はもちろん、当事務所の弁護士による法律コラムや最新の判例紹介を順次掲載するなど、より一層充実した、皆様のお役に立てるサイトを目指してまいります。
ぜひ一度、ご覧下さい。
↓中村綜合法律事務所 個人(事務所総合)サイトはこちら↓
http://kojin-n-law.jp/
↓中村綜合法律事務所 企業法務サイトはこちら↓
http://www.n-law.or.jp/
↓中村綜合法律事務所 民泊専門サイトはこちら↓
http://minpaku-n-law.jp/

 

3.司法修習についてのご紹介

平成30年9月11日、平成30年の司法試験合格発表がありました。今年度の合格者は1525人でした。
弁護士になるためには司法試験に合格することが必要ですが、司法試験に合格したからといって、すぐに弁護士資格が得られるわけではないことは、あまり知られていないかもしれません。
弁護士になるためには、司法試験に合格後、約1年間の司法修習を経、さらに司法修習の卒業試験である二回試験に合格しなければなりません。
司法修習は1998年までは2年間でしたが、1999年から2005年までは1年6か月間となり、2006年からは1年間になっています。
司法修習は、大きく3つの期間に分けられ、導入修習(3週間)、実務修習(9か月間)、集合修習(2か月間)があります。
実務修習はさらに5つに分けられ、民事裁判修習、刑事裁判修習、検察修習、弁護修習、選択型実務修習があります。
導入修習と集合修習は、埼玉県の和光市にある司法研修所という所に全国の修習生が集まります。実務修習は、全国各地に散らばって修習をします。
二回試験は、例年11月に5日間にわたって行われますので、今頃の司法修習生は試験勉強の追い込み時期ということにもなります。
司法修習を経、二回試験にも合格すると、やっと弁護士資格が得られることになります。

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